1 介護現場の負担軽減について
①より多くの介護現場で介護ロボットやICTの導入が図られるよう、府として進めるべきと考えるが、所見を問う
(福祉部長答弁)
介護人材の確保と定着のためには、介護従事者の業務負担を軽減し、働きやすい職場環境づくりを進めることが重要でございます。その実現のためには、介護ロボットやICTの導入・活用が大変有効であると認識しております。
そのため、府では、平成30年度から、国の地域医療介護総合確保基金を活用しながら、介護ロボット等の導入費用に対する補助を、年々増額しながら実施しておりまして、今年度は、未導入施設等を優先して補助を行っているところでございます。
実際に導入した介護事業者さんからは、入浴や移乗の介助、見守り等における身体的・心理的な負担が軽減されたであるとか、報酬請求や介護記録の作成時間が削減され、利用者とコミュニケーションをとる機会が増えたといった報告をいただいております。
そこで、来年度は、介護ロボット等の導入の加速化を図りますため、国の経済対策の補助金を活用しまして、今年度に比べて予算を倍増して補助を行う予定にしておりまして、より多くの介護施設等での働きやすい職場環境づくりを今後とも促進してまいります。
②介護現場の生産性向上の取組みを普及させ、効果を波及させていくための府における支援について問う。
(福祉部長答弁)
介護人材の確保・定着が喫緊の課題となっている中、限られた人員で質の高いケアを維持してまいりますためにも、お示しの介護現場の生産性向上につきまして、介護事業者が、それぞれの課題に沿って継続的に進めていただくことができるよう、府として支援していくことが重要と認識しております。
そのため、府におきましては、来年度から新たに、「介護生産性向上推進総合事業」を実施する予定にしております。
具体的には、介護施設等の生産性向上や人材確保等に関するワンストップ窓口を設置いたしまして、相談対応や適切な支援へのつなぎ、また介護ロボット等の展示や貸出による導入のきっかけづくりを行ってまいります。加えまして、介護施設等ごとの課題に即した機器の選定や、効果的な活用につながるよう、伴走的支援を実施してまいります。
そして、これらの伴走支援等を通じまして、生産性向上の効果が得られた具体的な事例につきましては、報告会とか当該介護施設等への見学の機会を設けるなどによりまして、府内の他の介護事業所への横展開を図ってまいります。
府といたしましては、介護現場の生産性向上の取組みを支援いたしますことで、働きやすい職場環境づくりを通じた介護人材の確保・定着や、利用者にとってのより良いサービスの実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
2 成年後見制度の利用促進について
①府として、市町村における中核機関の整備をどのように推進していくのかを問う。
(福祉部長答弁)
お示しの中核機関が、権利擁護支援の地域連携ネットワークのコーディネート役としての機能を果たし、適切な成年後見制度の利用を適切なタイミングで進めてまいりますためには、多様な主体と日ごろから情報共有などの連携・協働が求められます。そのため、中核機関は市町村における包括的な支援体制と一体的に運用されることが重要であると認識しております。
一方で、一部の市町村では、庁内関係各課との調整や新たに家庭裁判所や専門職団体等との連携が求められるという難しさから、中核機関の整備が進んでいないという課題もございます。
このため、府におきましては、市町村の中核機関の整備に向けまして、包括的な支援体制と中核機関の整備に一体的に取り組むための研修や意見交換会等を実施しまして、積極的に働きかけているところでございます。
府では、第5期大阪府地域福祉支援計画におきまして、全市町村における中核機関の整備をめざしております。府内のどの地域におきましても、成年後見制度の利用を必要とされる方が適切な支援を受けられるネットワークの構築に向け、引き続き、市町村を支援してまいります。
②市民後見人を府内により一層広めていくため、府としてどのように取り組んでいくのかを問う。。
(福祉部長答弁)
市民後見人の活動ですが、住民同士が支え、支えられる、地域共生社会をめざす上でも重要な取組みだという風に認識しております。
このため、市町村が市民後見人の養成に着手し、実際に市民後見人としての活動についていただけるよう、昨年の9月に策定いたしました「大阪府成年後見制度に関する担い手の育成方針」に基づき、市民後見人の活動事例や、活躍の場の仕組みづくりについて市町村等に情報提供を行っているところでございます。
併せまして、一人でも多くの府民の方に、市民後見人の活動を知っていただき、担い手となっていただくべく、府のホームページ等を通じまして呼びかけているところでございます。
また、遺産相続等ご本人が抱える専門性の高い課題が解決した後に専門職後見人から市民後見人に交代する、いわゆるリレー方式につきましても、家庭裁判所等の関係者と円滑な交代のスキームやフローについて協議を行いますなど、市民後見人の受任促進を図っているところでございます。
これらの取組みを通じまして、市民後見人がその特性を生かした権利擁護の担い手として広く活躍いただけるよう、引き続き市町村を支援してまいります。
3 小児・AYA世代のがん患者支援策について
・第4期がん対策推進計画の策定にあたり、小児・AYA世代のがん対策に来年度から具体的にどのように取り組むのかを問う。
(健康医療部長答弁)
大阪府におきます小児がんの5年生存率は、近年の医療の進歩によりまして、直近の30年間で約50%から80%と大幅に向上しております。
一方、小児がんにつきましては、治癒した後、患者の成長や時間の経過に伴い、過去の放射線治療等の影響によって起こりうる二次がんをはじめとした合併症への対応が課題であることから、次期がん対策推進計画におきましては、小児・AYA世代における取組みを重点的な施策の柱として位置付けているところでございます。
小児がん治療経験者には、二次がんの早期発見のために長期にフォローアップをしていくことが必要であることから、小児がん拠点病院等と地域の医療機関が診療情報を共有する等、連携体制を構築していくことが重要であります。
そのため、本府では、新年度新たに、治療後において定期的な診察と検査を実施するモデル事業に着手するとともに、退院時等にがん患者やその家族に長期フォローアップの必要性について周知・啓発を行うなど、小児・AYA世代におけるがん対策の取組みをさらに強化をしてまいります。
4 HPVワクチン接種について
・希望されるキャッチアップ接種対象者が無料の接種機会を逃すことのないよう取組みを行っていくべきと考えるが、所見を問う。。
(健康医療部長答弁)
HPVワクチンは原則3回接種を行う必要があり、初回接種から接種完了までは一定の間隔をあけて約半年の期間が必要であることから、キャッチアップ接種対象者が来年度中に公費により無料で接種を受けるためには、遅くとも本年9月頃までに接種を開始する必要があります。
昨年7月に府が実施をいたしました調査では、約5割が接種を決めていないと回答があり、ワクチン接種への理解促進を図るため、これまで行ってきました子宮頸がん予防キャンペーンや大阪駅地下道のデジタルサイネージに加え、本年1月から新たに若年層向けにSNSによるターゲティング広告を実施しております。
また、予防接種の実施主体であります市町村に早期に勧奨を行うよう協力依頼を行うとともに、府といたしましては専用相談窓口で接種が不安な方への丁寧な対応や様々な媒体の活用や機会を捉え、情報発信に引き続き取り組んでまいります。
5 淡路駅エリアを含む新大阪駅周辺地域のまちづくりについて
・淡路駅エリアを含む新大阪駅周辺地域のまちづくりについて、今後どのように進めるのかを問う。
(大阪都市計画局長答弁)
新大阪駅周辺地域の「まちづくり方針2022」におきましては、淡路駅エリアと十三駅エリアを、新大阪駅エリアの広域的な役割を補完するサブ拠点として位置づけており、これら3つのエリアが一体となって、それぞれの特色を活かしながら魅力の高い拠点形成を図ることとしております。
このうち淡路駅エリアにつきましては、お示しの「まちづくり検討部会」における検討の方向性といたしまして、柴島浄水場の開発用地や阪急の高架下空間の活用を中心に、歩行者ネットワークを強化し、居心地がよく歩きたくなるまちなかを形成することによりエリア価値の向上を図る旨を確認したところでございます。今後、大阪市を中心に、本府や鉄道事業者が連携し、お示しの、地域のまちづくりの中核拠点という視点も踏まえ、エリア計画の策定に向けて取り組むこととしております。
引き続き、これらのエリア計画策定に向けた議論を踏まえつつ、府市連携のもと、関係者とともに、新大阪、淡路、十三の3つのエリアが一体となった、世界有数の広域交通ターミナルのまちづくりの実現に向けまして、着実に取り組んでまいります。